花咲線について

About Hanasaki Line

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別寒辺牛湿原_花咲線01
知るほど、 旅に出たくなる。

Photography by Yasuyoshi Ohtaki

北海道の釧路と根室を結ぶ
「地球探索鉄道 花咲線」。

全長約135km、片道およそ2時間半のローカル線です。
JR根室本線の一部となっている、この路線。
沿線の雄大な自然や風景の美しさから、「花咲線」の名で親しまれてきました。

北海道地図

車窓に映し出されるのは、別寒辺牛湿原や厚岸湾といった自然が織り成す絶景。
そして、厚床の放牧や落石のコンブ干しといった、人々の営み。
時にはエゾシカや野鳥などの野生動物が姿を見せることも。
心地良い揺れに身を任せながら、
手付かずの自然が残る道東らしさにあふれた風景を堪能できます。
そして、停車する各駅にもお楽しみが。
厚岸町名物の牡蠣に浜中町の霧多布湿原でのアクティビティ、
根室市自慢の花咲ガニなど、地域ごとの魅力が満載。
最東端の根室駅に辿り着くまで、途中下車をしながらの気ままな旅もおすすめです。

ただ移動するだけでなく、旅そのものが目的になる、地球探索鉄道 花咲線の旅。
道東の自然と文化をじっくり味わえる、特別な旅路がここにはあります。

根室駅_花咲線

Photography by Yasuyoshi Ohtaki

期待に胸を膨らませて。鉄道旅の始まり

釧路駅のホームに立つと、2両の列車が静かに待っていました。電光掲示板に表示された「地球探索鉄道 花咲線」の文字に、胸が高鳴ります。いよいよ、旅が始まる。周りには、大きなキャリーケースを持った旅行者や、お喋りしている団体客の姿がありました。みんなワクワクした表情を浮かべながら乗り込んでいきます。人々の期待を乗せて、車両は動き始めました。

茶内駅_花咲線01

Photography by Yasuyoshi Ohtaki

花咲線ラッピングトレイン01

花咲線を走る車両には、さまざまなデザインがあります。赤いラインの「キハ54」が主に運用されている車両ですが、青と白の「キハ54」など、たまにしか出合えない車両もあるようです。そして、この鉄道ならではの車両も。

駅のホーム
花咲線ラッピングトレイン02

2018年から運行している「花咲線ラッピングトレイン」は、花と雪をイメージした赤と白のツートンカラー。大自然に映えるであろう華やかな車体にも、ぜひいつか乗ってみたいものです。

心地良い揺れに身を任せて、車窓からの眺めに浸る

街並みを抜けて東釧路駅も過ぎると、景色が変わってきました。建物が少なくなり、時折線路横の木々が窓をこすります。林の中にシカの親子も見つけました。ふと周りに目をやると、誰もが窓の外に夢中な様子。「シカだ、可愛いねえ」「この先に海も見えるはずだよ」と、楽し気な会話が聞こえてきます。手元の地図に、何かを書きつけている人もいました。流れゆく景色をじっくり眺められるのも、鉄道での旅ならではです。

花咲線ラッピングトレイン03

Photography by Yasuyoshi Ohtaki

尾幌駅を過ぎたあたりで、「車窓からの景色をお楽しみください」というアナウンスとともに、速度がゆっくりと落ちて行きました。目の前に広がっていたのは厚岸湾。わあっと小さく歓声が上がり、車内は静かな高揚感に包まれました。もっと絶景を味わいたいときには、音声ガイドを利用するのも良いかもしれません。

厚岸町 厚岸海岸 車窓からの景色
地球ノンフィクション予告編

[地球ノンフィクション] 予告編

手付かずの自然が織り成す絶景へ

そして、厚岸駅へ到着。ここでのお目当ては、名物駅弁「氏家かきめし弁当」。事前予約をすれば、列車到着時にホームまで届けてくれるのです。列車が停車する時間は、わずか1分。ドキドキしながら電車を降り、無事に受け取りが成功。席に戻って早速包みをほどくと、牡蠣を中心にアサリやツブと、厚岸を象徴する素材が勢ぞろい。炊き込みご飯と共に口に運ぶと、タレのあま味と牡蠣のうま味が押し寄せます。

氏家かきめし弁当 お弁当の受け渡し
別寒辺牛湿原_花咲線02

Photography by Yasuyoshi Ohtaki

別寒辺牛湿原

しかし、手元の弁当にばかり気を取られているわけにもいきません。
厚岸湖を抜けた先に広がるのは、
ラムサール条約にも登録されている別寒辺牛湿原。
タンチョウやオジロワシ、ヒグマといった野生動物も生息する、低層湿原です。
鮮やかな深い緑と、静かに揺れる水面がまだらに存在し、時折姿を見せる野鳥たちは自由に空を飛び交っています。
手付かずの自然が作り出す幻想的な風景は、息をのむような美しさ。
ここでも列車はスピードを落とし、景色を堪能させてくれます。

霧多布湿原

この素晴らしい自然を車窓から眺めるだけでなく、もっと近くで感じたい。
道東の自然を間近で体感したい。
浜中駅で降りて、Land Edgeの高山真由子さんのガイドのもと、霧多布湿原を散策します。

自然と人とが調和した景色

先ほどの別寒辺牛湿原とはまた違い、広大な土地にさまざまな湿地が存在するこの湿原。波が打ち付ける霧多布岬、可憐な花が咲き誇る琵琶施木道。民家も立ち並び、雄大な自然と人の暮らしが調和していることに気付きます。湿原を見渡す琵琶施展望台で、高山さんが呟きました。「1年中、どんなときでも感動するんです。森も川も海も全部あって、人々の暮らしごと大切にしている。飽きない美しさが、ここにはあります」。その言葉に、深く頷きます。

花 琵琶施展望台からの景色

浜中駅を出ると、この鉄道旅も残りわずか。ポツポツと建物が現れ始め、牛や馬が放牧されている様子も見えます。落石駅の周辺では、コンブを干している様子も。大自然と人々の営みが作り出す風景もまた、心に響くものがあります。高山さんの言葉を思い返しながら、目の前の光景に思いを馳せました。

根室市 落石漁港

Photography by Yasuyoshi Ohtaki

最東端・根室に辿り着いて

とうとう旅の終着点、根室駅へと到着。
このひとときがいかに充実したものだったか、
ホームへ降り立つ人々の晴れやかな顔が物語っています。
駅の壁には、「最東端の駅」という文字。
そうか、日本の一番端っこまで来たんだなあ。
そんな実感がこみ上げてきます。

根室駅
食事

その日の夕食は、根室の海鮮を堪能。
旬の魚の刺身や焼きもの、手をかけて作られたおつまみ。
さすがは日本有数の漁師町。
ここでしか味わえないおいしさに、舌鼓を打ちました。

せっかくここまで来たのなら、できるだけ東の果てまで足を延ばしてみたい。
日本一早い朝日に出合える、納沙布岬を目指してみましょう。
東へ向かうほどに景色は変わり、
段々と草原が広がっていきます。
厳しい環境が生み出す、もの寂しさと力強さ。
まるで別世界に来たかのような気持ちになります。

納沙布岬

そして、納沙布岬へ到着。
どっしりと佇む真っ白な灯台、飛び交うカモメの鳴き声、
その向こう側には、どこまでも続く海。
打ち寄せる波を見つめながらこの旅のことを振り返ると、
いくつもの景色が浮かんできました。
それらはどれも、鉄道で旅をしたからこそ出会えたもの。
きっとまた季節が巡れば、違う景色が待っているのでしょう。
いつかまた、このエリアを旅したいと思います。
もちろん、地球探索鉄道 花咲線で。